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第3章 良質な住宅ストックの形成と有効活用に向けた住宅政策の内容 PDF
成熟社会の中で多様化する市民の居住ニーズに対し、多様な選択肢を整備し、市民が住宅を自由に選択できるようにしていくことや少子高齢社会の中で市民だれもが安心して暮らしていくことが重要である。
そのためには、市内に良質な住宅ストックが形成され、それを有効に活用できるように市場環境を整備するとともに、公民の役割に基づき、安心居住の確保に向けた施策の再構築をめざしていくことが必要である。
そこで、ここでは、市全体の住宅を対象とした住宅政策の取組として、「良質な住宅ストックの形成と有効活用」に向け、その課題や方向性、取組方についてとりまとめる。
ここでいう「良質な住宅ストック」の「質」には以下の2つの意味がある。
○個人ごとに求めるものが異なる質
・成熟社会の中で、市民の価値観や要求が多様化していき、それにより求められる「質」
のことである。市民が選択しやすいように、住宅に関する情報が的確に示されている
ことが「良質な住宅ストック」を形成するための基本的な課題となり、住宅市場の環
境整備により実現を図ることが必要である。
・具体的には、世帯の規模や居住者の年齢等によって求めるものが異なる性能(住宅の
広さ(最低居住水準以上)、バリアフリー性能等)がこれに該当する。
○社会的に確保すべき基本的な質
・基本的な安全性や持続可能性等、社会的な観点から、すべての住宅を対象とした質の
ことである。「良質な住宅ストック」を形成するための何らかの規制・誘導策を政策
的に実施することが課題となる。
・具体的には、社会的に求められる住宅の性能や長期にわたる有効活用を促進するため
の性能(防犯性、省エネルギー性、長期耐用性等)がこれに該当する。
なお、公的住宅のストック活用や住宅の基本的な質の確保等による安心居住の確保に向けた施策の再構築に関しては、「入居機会」の確保と「居住の継続」の確保を基礎に、「居住の質」の確保を図るという3つの要素を視点として、取組のあり方を提案する。
「入居機会」の確保 :最低限の質を持つ住宅への入居機会の確保
「居住の継続」の確保:所得に応じた家賃負担による居住の確保
「居住の質」の確保 :住宅・住環境の基本的な質の確保、対象者に適合した質やサービスの確保
※都営住宅、空き家 低所得者 格差
お金が一部に滞留することで、空き家などが有効に活用されない。
また、住居を必要とする人が利用できない。
※地方と都市部の格差 人口の流出
3-1 住宅をめぐる展望と課題
(1)住宅をめぐる展望
①住宅市場・住宅需要の展望
●これからの住宅市場の展望
・少子高齢化や人口増加の停滞を背景に、団塊世代や団塊ジュニア世代の需要層として
の位置づけがますます大きくなることが想定されており、これらの世代のニーズが住
宅市場に大きな影響を及ぼしていくものと思われる。
また、従来の終身雇用・所得の右肩上がりを前提としたライフコースが大きく変化していくことから、従来の持家・一戸建住宅をあがりとした「住宅双六」にとらわれない持家・借家間の動きや一戸建・マンション間の動きが増えていくものと思われる。このため、「住宅を利用する」という観点に基づいた動きや、「住宅を資産として価値の向上を図る」という観点に基づいた動きが徐々に大きくなり、多様な住宅や居住形態が生まれる可能性が高い。
・具体的には、ライフステージごとの住替えに対応した多様な賃貸住宅の出現(通勤・
通学の利便性、子育てのしやすさ、高齢期の暮らしやすさ等を重視した住宅等)や相
続までの長期間住むことのできる良質賃貸住宅、借家にも転用しやすい持家の普及等
が「住宅を利用する」観点の動きとして想定される。
また、「住宅を資産として捉える」観点で、一度取得した住宅の質の向上を図るためのリフォームの活発化や、質を高めた住宅の中古市場での取引の増加が想定される。
②公的賃貸住宅をめぐる動きと展望
・従来、住宅政策が対象としてきた住宅困窮世帯は、市場家賃の支払いが困難な借家居
住の低所得者や、民間賃貸住宅において敬遠される高齢者・障害者等が主であり、公
営住宅を主体とした公的賃貸住宅の整備により対応を図ってきた。
・しかしながら、近年、雇用環境の変化や家族関係の変化から、突発的に所得が低下す
る事情が増えていることや、外国人、ひとり親世帯、ホームレスなど入居拒否、更新
拒否、立ち退き要求等を受けやすく入居機会が十分とはいえない世帯の増加やDV被
害等の問題の表面化がみられるなど、住宅困窮事由は多様化しており、今後これらの
世帯はさらに増加すると思われる。
・一方、所得の二極化により、公営住宅入居資格者は増加しており、平成 15 年データ
による試算では約 20 万世帯となっている。(なお、現行の公営住宅の入居収入基準
では、制定当時の想定より広い分位の所得者まで対象となる実態があり、国において
は「市場において最低居住水準の達成を図ることが困難な低額所得者」を適正に対象
とすることができるよう、基準の点検を行う動きがある。)
・この公営住宅入居資格者のうち、「横浜市の賃貸住宅市場において最低居住水準の住
宅に適正な住居費負担で入居できない低額所得世帯」(以下、「最低居住水準の達成
が困難な公営住宅入居資格世帯」という。)は、平均家賃データを用いた試算では、
8.7 万世帯程度(平成 15 年データによる試算)と予測される。このうちの 2.0 万世帯
が公営住宅(市営住宅、県営住宅のストックはあわせて 4.7 万戸)に居住し、5.7 万
世帯が民間賃貸住宅に居住しているものと予測される。(残りの1万世帯は機構・公
社住宅や給与住宅などに居住しているものと予測される。)
・なお、実態としては「最低居住水準の達成が困難な公営住宅入居資格世帯」が適正な家
賃負担率の範囲で居住できる民間賃貸住宅のストックも市内に相当数存在している。
・一方、公営住宅入居資格をもつ世帯では、高齢(単身)者の占める割合が増加してお
り、公営住宅への応募、入居とともに、機構・公社住宅を含め、公的賃貸住宅での居
住も増加している。
・今後、ますます高齢者のみ世帯数が増加するにつれ、安定した居住と入居機会が確保
された高齢者向け賃貸住宅需要は増大するものと思われる。また、高齢者の身体機能
など自立の程度に応じた多様な立地、住宅タイプ、生活支援サービスを備えた高齢者
住宅の整備が求められるようになる。
・また、高齢者のみならず、子育てファミリー世帯、障害者、ひとり親世帯等の様々な
住宅困窮世帯への対応も今以上に重要になっていくものと思われる。
・なお、国においては、平成 17 年6月に「地域における多様な需要に応じた公的賃貸
住宅等の整備等に関する特別措置法」が制定され、さらに、現在、従来の住宅建設計
画法に代わる新たな住宅政策に対応した制度的枠組みに関する検討が行われており、
住宅政策の基本的な方向性の見直しが進められている。
地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法
平成17年2月7日 <問い合わせ先> 住宅局住宅総合整備課
(内線39806) TEL:03-5253-8111(代表)
1.趣旨
社会経済情勢の変化に伴い、地方公共団体が、自主性と創意工夫を生かして、地域における住宅に対する多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備及び管理並びに良好な居住環境の形成を推進することができるよう、国土交通大臣による基本方針の策定、地方公共団体による地域住宅計画の作成、地域住宅計画に基づく公的賃貸住宅等の整備等に関する事業又は事務に充てるための交付金制度の創設等所要の措置を講ずる。
※「公的賃貸住宅等」
…地方公共団体が整備する住宅(その整備に要する費用の一部を負担して整備の推進を図るものを含む。)、独立行政法人都市再生機構若しくは地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅、特定優良賃貸住宅又は高齢者向け優良賃貸住宅をいう。
※独立行政法人都市再生機構 (UR都市機構) サイト
平成16年7月1日
(都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門がひとつになりました。)
人が輝く都市を実現すること。 都市再生とは、まちづくりをとおして日本を再生することにほかなりません。 それが私たちに与えられた使命です。 私たちは、すべての人びとが生き生き暮らす都市をめざし、「アーバン・ルネッサンス・プロデューサー」として 21世紀の日本の都市像を描いていきたいと思います。
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前身は日本住宅公団。愛称は略称を冠した「UR都市機構」(ユーアールとしきこう)。
旧都市基盤整備公団
1955年7月、日本住宅公団設立。
1975年9月、宅地開発公団設立。
1981年10月、日本住宅公団と宅地開発公団を統合し、住宅・都市整備公団設立。
1999年10月1日、都市基盤整備公団に改組。
2003年3月17日、主たる事務所を東京都千代田区九段北一丁目14番6号から横浜市中区本町六丁目50番地1の横浜アイランドタワーに移転。
2004年7月、地域振興整備公団の地方都市開発整備部門を統合し、都市再生機構設立。同時に鉄道事業を廃止し千葉ニュータウン鉄道に有償譲渡。
旧地域振興整備公団
1962年7月、産炭地域振興事業団設立。
1972年10月、工業再配置・産炭地域振興公団に改組、発足。
1974年8月、地域振興整備公団に改組、発足。
2004年7月、地方都市開発整備部門が都市基盤整備公団と統合し、都市再生機構として新発足。産業系開発部門が中小企業総合事業団および産業基盤整備基金と統合し、中小企業基盤整備機構として新発足。
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※地方住宅供給公社
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都市機構の在り方調査会報告に反論し、報告書の撤回を求めます。
2012年8月31日 全国公団住宅自治会協議会
独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会は、8月28日に「報告書」を発表しました。1月20日の閣議決定が都市機構「業務の見直し、分割・再編、スリム化」、賃貸住宅の「特殊会社化」について検討を託し、内閣府に設置した調査会の結論です。
発表まえに日本経済新聞(8月18日付夕刊)は一面トップで報道し、「URの改革案が固まったことで民主党政権が進める独立行政法人改革にメドがつくことになる」と書き、政権の企図にふれました。朝日、毎日の2紙は8月29日付朝刊で、その内容が機構賃貸住宅の分割、株式会社化であることを端的に伝えました。
公団住宅はこれまでも、歴代政府が「行財政改革」をとなえるたびに標的にされ存続の危機に立たされてきました。1981年の土光臨調では「行革第1号」として日本住宅公団を廃止し、新公団の目的から「勤労者のため」をけずり、96年の橋本ビジョンでは消費税5%への引上げにあわせ、住宅・都市整備公団から「住宅」の看板をはずし都市基盤整備公団に、2001年の小泉構造改革では、公団など特殊法人や国立機関が独立行政法人に改編され、都市公団は都市機構に変わりました。民主党政権になり消費増税と一体改革をまえに「身を切る」一策として急浮上、機構賃貸住宅の分割、株式会社化の検討にはいりました。
公団住宅を民営化し売却して国の財政赤字解消に充てよというのが、当初からの変わらぬ政財界のかけ声でした。多数の庶民が住まいの命綱としている公共住宅をなくすことに大義があるはずはなく、居住者の切実な反対運動とこれを支える世論も強く、今日まで公共住宅として存続してきました。
今回の調査会の報告書は、機構賃貸住宅を一部なりとも株式会社化して、公共住宅の縮小、廃止へ大きく歩を進めるものであり、私たちは報告書の撤回を求め、調査会提言にもとづく立法化等に反対していくことを表明します。
※日本住宅公団はなぜ廃止されたのか?
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→ 「 無用の長物『都市基盤整備公団』なぜ廃止しない 」 サイト
『週刊新潮』 2001年5月31日号 櫻井よしこ告発シリーズ 第4回
余剰住宅が600万戸以上もあり、賃貸住宅の1割強が空き家になっている時代に、政府系デベロッパーとしての都市公団の存在意義が消滅したのは明らかだ。税金を投入しても、投入しても、年々、累積債務を増やす一方の都市公団に残された役割はあるのか。
市場原理を無視した経営の失敗の結果だった。
例えば、千葉県浦安に海風の街、夢海の街という洒落た名前の分譲マンションを公団が建てたのは87年と94年のことだった。当時から、価格が高くアクセスも不便で、売れ足の鈍さが報じられた。
売れ残りマンションを抱えて、公団が値下げに踏み切ったのが亀井静香建設大臣の時だ。特殊法人問題に詳しい民主党の石井紘基議員が語った。「浦安だけでなく、全国で1万戸もの分譲マンションが売れ残ったのです。公団はモデルルーム販売と称して、まず700万円値下げしました」
※NPOなどの非営利団体という考え方がまだ浸透されていなかったため、利益の上がらないものは悪という発想。低所得者へ住宅を提供し続けて、黒字にするために家賃を上げて低所得者を苦しめたら、本末転倒。
また、本体の目的とはほど遠いマンションの分譲は、利益を求めた結果。
もしかしたら地権者に騙されて公団が無茶な計画を立てたのかも。
なぜ不便なところに計画するのか?
きちんと決定した資料は残っているのだろうか?
損失の裏には儲けた人がいる。責任を負うことがない公務員が泥をかぶることが多い。
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※ 低所得者層への住宅供給を目的とする行政法人の株式化は利益を求めることとなり、本来の目的と反することになりそう。その後はどうなったのだろうか?
→ 都市再生機構は、閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(2013.12.24閣議決定)により特殊会社化・民営化ではなく、中期目標管理型の法人とすることが決まりました。それに基づき都市機構の2014(H26)年度から2018(H30)年度までの5年間に渡る第三期中期目標と第三期中期計画が新たに策定・発表されました。
第三期中期目標は国土交通省が策定、第三期中期計画はその目標に合わせて都市機構が作成し、独立行政法人評価委員会都市再生機構分科会の審議を経て決定されました。
同会では委員から「収益性が前面に出ている内容で驚いた。『住宅セーフティネット』として違和感があり、不安が先に立つ」「エリア単位の統廃合などと大胆な書き方をしているが、団地は地元でも大事な資源・資産である」「このような内容(団地再生・統廃合)になるのなら、居住者のコミュニティ、特に高齢者には配慮が必要である」等の意見が出されるなど多くの問題点が含まれています。
独立行政法人改革等に関する基本的な方針 2013(H5.12.24) サイト
目標設定とPDCAサイクル、内部ガバナンスなど、まるで経営コンサルを受けたような方針
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(H19)
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